注文住宅の大きな魅力の一つは、間取りを自由に考えられることですよね。
家族と話したりしていると、いろいろな要望が出てくると思います。
とはいえ、予算には限度があるから全部実現は難しいし、あちらを立てればこちらが立たずというのも当然出てきます。
そんなときのために、優先順位をあらかじめ考えておくのが大切!
・・・とはいっても、いざとなると悩んでしまうという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回はどんなふうにして優先順位を決めていけばいいのかを、私なりに考えてみました。
それぞれいろいろなやり方があるかとは思いますが、ぜひ参考にしてみてください。

家づくりをスタートして、最も時間を長く使う間取りの打ち合わせ。
新しい住まいでの生活を想像しながら、ネットや本などいろいろなものを見てああでもないこうでもないと夢を膨らませていたことが、少しずつ実現していくフェーズです。
いろいろな要望が夢が形になっていく楽しいところではあるのですが、全てを実現とはなかなかならないのもまた事実。
広さや予算の制約はもちろん、あちらを立てればこちらが立たずどちらを取るか・・・ということもでてきます。
そんなときのために、あらかじめ優先順位を考えておくといいのですが、そうは言ってもなかなか決められなかったり、決めていてもいざとなるとまた迷ってしまったり・・・なんてこともあります。
今回は、優先順位を決めるための基本的な考え方や、決めたのに迷ってしまったときのための準備などを考えていきたいと思います。
●「なぜ?」を書いて整理する
まずは出ている要望を整理していくことから始めます。
このとき、「これはキッチンの要望」「これは間取りについて」「これはお父さんの要望」という風にいきなり分類していくのではなく、まずはその要望がなぜ出たのか理由を考えていきます。
「今のキッチンは狭くて料理もしにくいから広くしたい」とか、「家でも仕事をすることがあるから小さな書斎が欲しい」というような感じです。
理由が出揃ったら、それを手がかりに次のように要望を整理します。
1.今の住まいの不満やいいところから出てきた要望
「今のキッチンは狭いから広くしたい」「寝室にクローゼットがあって便利だから
新しい家にも欲しい」など
2.家族の暮らし方から出てきた要望
「朝トイレが渋滞するから2つは欲しい」「休日は出かけることが多いからリビングはそんなに広くなくてもいい」など、普段の生活習慣の中から出てきた要望
3.理想の暮らしから出てきた要望
「○○が趣味だから、そのための部屋が欲しい」「家族みんなが集まって過ごせるリビングにしたい」「○○風なインテリアを楽しみたい」など、新しい家で実現したい暮らし
4.本や知人からの情報から出てきた要望
●優先順位が高いのは?
整理ができたら、優先順位を決めていきます。
理由を明確にしただけでも決めやすくなったかと思いますが、ここでは整理した理由ごとの優先順位を考えてみます。
基本的に、1と2は優先順位を高くした方が満足のいく家づくりができます。
家が新しくなったからといって、家族の生活が大きく変わるということはありません。今の生活を大きく変えることなく暮らせる家づくりを考えることも家づくりの大切な要素の一つです。
ただ、2については家族の成長と共に変わっていく可能性もあります。少し可変性を持たせるなどして他の要望とバランスを取ることも考えてみてはいかがでしょうか。
3は考えるだけでも楽しいところですが、優先順位を考えるときには少し注意が必要です。
ついつい気分が盛り上がって家づくりのメインに持ってきがちですが、その暮らしが本当に自分たちの生活にあったものかをしっかり考える必要があります。
家族の暮らしのイメージをしながら優先順位を決めるようにしてはいかがでしょうか。
4については、優先順位は低めです。
間取りを考えるときにはいろいろなものを参考にすると思います。
本を見ると魅力的な写真がいっぱいで、先に家を建てた知人に話を聞けばこれがいい!という体験談をたくさん聞けると思います。
どちらも説得力があるので、自分たちの家づくりにも取り入れたくなりますが3同様注意が必要です。
特に1~3までの理由が挙がらず、よさそうだからという理由だけのものは気をつけないといけません。
一度きりの家づくりだから試してみたい!という気持ちもあるでしょうが、優先順位を考えるときには家族の暮らしをイメージしながら必要かどうか判断しましょう。
●理由を書いておくもう一つの大きなメリット
優先順位を書いておくと、優先順位を決めるとき以外にもとても役立つシーンがあります。
それは、設計者との打ち合わせの時です。
ただ要望を伝えるだけでなく理由もあわせて伝えると、設計者もよりイメージがしやすくなり、自分たちのイメージにあった設計になりやすくなります。
また、その理由だったらこういうこともできますよというアイディアを引き出すことができたり、予算や他の要望との兼ね合いで諦めていたものも思わぬ形で実現してくれたりします。
要望と一緒にその理由も書いておくというのは基本的なことのように思われるかもしれませんが、意外と見落としがちな部分です。
ある程度要望が出揃ったかなと思ったら、ぜひ思い出して実践してみてください。
書いた人

宅地建物取引士・2級FP技能士・暮らし省エネマイスター
深野木 託
実家の断熱リフォームに感動し、大学院で住宅の快適性を専門に建築環境工学を学ぶ。全国の実住宅で温熱環境の実測調査などを行った。