今回のテーマは、家の寒さの中でも手強い「底冷え」について。
今年の冬は暖冬でしたが、家では暖かく過ごせましたか?
ご自宅や年末年始帰省したときの実家で、暖房をつけてるけどなんとなく寒い、底冷えする・・・と感じたことがある方も多いかと思います。
この不思議な寒さは一体どこからくるのでしょうか。

こんにちは!
快適暮らし研究室 室長の深野木 託です。
皆さんは寒いのは苦手ですか?それとも得意ですか?
私は小さい頃から寒いのが苦手で、朝ストーブにかじりつきながら着替えをしていたのを覚えています。
一人っ子なので一人占め・・・とはいかず、時には飼っていた犬とストーブの前を取り合っていました(笑)
そんな、思い出に浸っているとふと1つ疑問が浮かびました。
当時の私はなぜ、部屋は暖まっていたにも関わらずストーブにかじりつきながら着替えをしていたのでしょうか?
エアコンやストーブをつけていても感じる嫌ーな寒さ、みなさんもご経験があるのではないでしょうか。
あの寒さは一体どこからやってくるのでしょうか?
●暑い寒いを決めるのは「体感温度」!
ストーブやエアコンがついていて室温は暖かいのに寒い部屋では、一体何が起こっているのでしょうか?
謎を解き明かすために「暖かいのに寒い部屋」がどうなっているのか、サーモカメラで見てみると・・・

▲室温19℃、外気温17℃のときの壁表面温度(3月29日午前9時頃撮影)
サーモカメラで見てみると、室温は19℃あるのに壁の温度は14.5℃、窓は少し外の空気で暖められていますがそれでも15℃しかありません。
部屋の空気は暖まっていても壁や床、天井などが冷たいままということが分かります。
冬も終わろうとしている今だからこの程度で済んでいますが、外の気温が更に低い1月や2月だともっと冷たくなります。
実はこれが「暖かいのに寒い部屋」になる大きな原因の1つなのです。
暑さ寒さは、部屋の温度だけでなく空気の流れや湿度、そして周囲の物の温度に影響を受けます。
これが「体感温度」です。
こんなストーブを使ったことのある人も多いと思います。

電気ストーブやハロゲンヒーターと呼ばれるものです。
これは、暖かい物を近くに置くことで「体感温度を上げる」機械なのです。
暖房と区別して「採暖」と言います。
これと逆のことが起こっているのが、冬の室内。
冷たい壁や天井、床、窓によって身体がジワジワと冷やされてしまいます。
部屋の中では、ざっくり計算すると壁の表面温度と空気温度の平均が体感温度。
つまり、室温が20℃あっても壁が16℃だと体感温度は18℃になってしまいます。
それぐらいならもう少し温度を上げれば大丈夫かな・・・と思われるかもしれませんが、もし体感温度20℃で生活しようとすると、必要な暖房設定温度は24℃。
設定温度を1℃上げると消費するエネルギーが約10%増えると言われているのでその影響の大きさが分かります。
残念ながら壁や天井、床、窓の温度をエアコンやストーブで暖めるというのは難しく光熱費もかかります。
これから家を建てる方には省エネで快適な生活のために、そして健康のためにも高断熱高気密の家づくりをオススメします。
限定的ではありますが、既に寒い部屋でもできる対策がいくつかあります。
既に寒い部屋での対策はこの後のオマケをご覧ください!
書いた人

宅地建物取引士・2級FP技能士・暮らし省エネマイスター・暑がりかつ寒がり
深野木 託
実家の断熱リフォームに感動し、大学院で住宅の快適性を専門に建築環境工学を学ぶ。
小学3年生までは冬でも半袖半ズボンだった。
[オマケ]もっと詳しく知りたい人のために
●体感温度について
家の中で体感温度に大きく影響する要素には以下のようなものがあります。
・温度 ・湿度 ・風速 ・放射 ・着衣量
他にも年齢や性別などの影響もありますが、自分でコントロールできて影響の大きい要素は上記のようなものです。
放射が先に書いた「周囲の物の温度」の影響、着衣量は「着ている物の量や種類」です。
●既に寒い部屋での対策
最も確実なのは断熱リフォームですが、ここではすぐにできる対策をご紹介します。
といってもできることは基本的な防寒対策ばかりです。
対策のポイント「体感温度」を理解して効果的な対策をしましょう。
・窓部分
カーテンや障子、ハニカムスクリーンを使うことで、特に冷たい窓からの熱の流れをブロックできます。
裾の長いカーテンを使うことで、冷たい空気が降りてくる「コールドドラフト」の防止にもなります。
・寒さの対策は足元から!
足元の冷え対策は特に重要です。
基本的なことですが、カーペットやスリッパがとても効果的。
・ストーブを使うなら置き場所にも工夫を
ストーブなどの暖房機器を使うなら、窓付近に置くのがオススメです。
窓で冷やされた冷たい空気が降りてくるのをある程度防いでくれるので、足元の寒さを軽減することができます。
昔ながらの”ストーブの上にヤカン”は、同時に加湿もできるので合理的ですが結露にご注意を!
・暖かくなる着込み方
着衣量によって体感温度は大きく変わりますが、このとき素肌が露出している部分を隠すように着るとより効果的。
首回りや手足を覆うだけでも暖かくなります。